自閉症と自閉性

2016年7月11日月曜日 アスペルガー 自閉症

近年、自閉症スペクトラムという言葉が取り上げられるようになって来ました。

自閉症という言葉はよく聞くことだと思いますが、原因は脳になんらかの障害があって、五感から入ってくる刺激の認識が何か普通の人と異なってしまったために日常生活に何らかの不具合がでる状態と見る事が出来るわけですが、そのために社会性の障害、コミュニケーションの障害、想像力の障害といった特徴が現れるようです。

そしてそれが自閉症から始まって、ADD ADHD LD アスペルガー症候群 高機能自閉症など 程度や場合や見方によって診断されるようです。 ところがその診断についてはあまりにも多様なケースがあるためにマニュアル的に判断することは難しく、実際に専門の医師が診察して判断するしかないのが実状のようです。

そしてこのそれぞれの障害の境界も判断が難しく、一番軽度と見られるアスペルガー症候群と一般の人の境界を見つけるのも難しいところがあるようです。そこで自閉症が「ある」「ない」と判断するのではなく、「どの程度ある」という見方が出てきました。スペクトラムとは連続体という意味です。

自閉症という言い方よりも自閉性があるという言い方のほうがたしかにしっくりとくるかもしれませんね。そして突き詰めていけば普通の人と自閉症の人との境はないのではないかということになるのかもしれません。

周りにいるちょっと変わった人などはだいたいが自閉性を持っているのではないかと思います。

さて、自閉性をみるチェックリストを紹介します。


□ 話がいきなり不自然に飛んだりちぐはぐで、会話が相互にスムーズにならない

□ 話が一方的でこっちの興味はおかまいなしに詳しくしゃべる

□ 同じことを何度もいう

□ 何でもないような質問に、うまく答えられなかったり、黙り込んでしまう

□ 文法や語の使い方が間違っていることがあるが本人は気付いていないようだ

□ 感情表現がとても少なく感じる。また他人の感情への反応が少ない

□ 逆に、よくわからないところで、かんしゃくを起こす

□ 昔のことでも、「○月○日に○○があった」と覚えていて驚かされる

□ 車のナンバー、誕生日、時刻表などの細かい情報やデータなど、数字や数量、文字などをとても細かく覚えている

□ 失礼だと思うような発言をストレートに言うことがあるが、悪気はないようだ

□ 口調が不自然な印象を受ける。やたら丁寧、格式ばっている、抑揚がない、変なアクセントがある、肝心なところを強調しないなど

□ 同年の子と比べて言動が幼い感じを受けることがある

□ 友達は少なく、一人でいることが多いみたい。ほかの人と一緒に何かをしようというのがあまりない

□ 手をひらひらさせてたり、ゆらゆら体を揺らしたりしているのを見かけることがある

□ 一日の計画が決まっていたり、毎日の決まり事があるようで、急遽予定が変わることをとても嫌がる

□ 比喩や、皮肉を字義通りに解釈してしまう

□ 子どもの頃2歳を過ぎても発語がほとんどなかった

□ 目線が合わなかったり、表情や身振りが有効な使われかたをしていない

□ 不器用さが目立つ。ボールの受け取りがうまくできない、歩き方がぎこちないなど

□ 特定のものへのこだわりが強い

□ 行動の順序をこだわり、その通りにいかないとやり直したり、怒ったりする

□ さわられるのが嫌みたい。小さい頃はお母さんに抱かれても安心しているようではなかった

□ 突然の音に過剰に反応する

□ 特定のものを見ることや音を聞くことに苦痛を感じているようだ

□ 逆にちょっとした痛みに鈍感だ

□ 偏食が強い

□ まじめだ。おちゃらけていない

□ 学校のテストは標準だ


多くの人がこれに該当するところがあると思いますが、たぶん多くの人はアスペルガーに該当することはないと思います。ちなみにこれがいくつ当てはまったからといってアスペルガーや高機能というわけではなく、最終的判断は医師が下すということになります。

自閉スペクトラムのなかでも高機能自閉症(アスペルガー症候群を含む)について取り上げそれから社会のあり方などについて考えます。一般の自閉症と高機能自閉症は原理は同じようですが古典的な自閉症(カナー型)は知的障害を伴うのに対して、高機能自閉症は知的障害が比較的軽度または全くないという違いがあるようです。

そのため、この高機能自閉症は見た目は普通の人と変わらないのですが、交流してみると「ちょっと変わったところ」があるという感じがあります。

例えば、何か自分と相手の交流がスムーズに行かないとか、言葉と表情・手振りなどがうまく行かないとか、物事を結びつける事が難しかったり、普通の人がなんでもないようなものに執拗にこだわったり、変化をなぜか嫌がったり・・・自閉という言葉がつくので自分の世界に入っているのかと思う方もいるかもしれませんが、中には積極的に話しかけたり質問をしたりと全然「自閉的」には見えません。

こだわりが強く、出された食べ物に一体何が入っているのか細かく調べてみて自分の嫌いなものが入ってないということがわかれば食べるとか、先生がこう言ったので絶対そうでなければならないとか、パンツはこの形と色でなければならないとかあったりします。

一般に私達が五感を通して入ってきて頭の中で作り上げられるイメージと少し違ったイメージが存在するために本人は全く自分がおかしいとは思わず、相手も同じようなイメージをもっているという思い込みがあったりします。別の世界に住んでいるような状態であり、相手と自分の住んでいる世界にちょっとずれが生じているということになります。そのために人の心を読み取るということが大変苦手です。それで「ちょっと変わった人」と見られてしまうことが多くなると思います。

自閉症スペクトラムの有病率は100人に1人、そのうち七割は知的障害を伴わない高機能自閉症という報告もあり、学校では1学年に一人くらいはいるということになり、身近なものであるということになります。(それにたいしての学校の対応はほとんど出来てないのが実情ではないでしょうか?少なくとも私の身の回りでは) そのうち5割程度はちゃんと就労できるという報告もあるようです。また実はアスペルガー症候群が名前が知られたのは1981年、ウイングの論文によるものであり、自閉症スペクトラム概念は1996年と最近のことで、すでにアスペルガーでありながらも成人し、自分がそうであるとわからず「ちょっと変わった人、でも個性的」という立場で生活している人もだいぶいるのかもしれません。そのように考えると自閉症スペクトラムに入ってくる人々の率は実はもっと高いのかもしれません。その実際の症状としての(カテゴリー概念)判断はあくまでも専門の医師が行うので、実際は診断されないでそのままになっている「自閉性」の多い人々はもっと多いのかもしれませんね。

アスペルガー症候群は先天性のものなのですが、子供がその傾向があると親もその傾向がある場合がある、と聞きます。遺伝的な要素も原因の一つにはいるのかどうかははっきりしていないようですが、子供が診断されて実は親もそうだったとわかることも多いということのようです。隠れたところで実は潜在的に自閉性を持っているのに気がつかず、なぜか生きにくいと感じている人ももしかしたら多いのかもしれません。あるいは環境に恵まれて全く気がつかないで才能を伸ばしながら生活している人もいることでしょうね。

普通の人−ちょっと変わった人−高機能自閉症(アスペルガー症候群含む)の人・・・

これらを区別することは実際にはなかなか難しいようで、専門医によらないと境界線がはっきりしていません。 と言うことは、「普通の人」とは一体何かということも実にあいまいになってきます。一体どれだけの割合でみんなが柔軟性を持って同じイメージを共有しているのか・・・・もしかしたらそれがそれぞれ違い、こだわりを持ちお互いへのイメージの押し付けとなり、身の回りで些細なことでケンカしたりしているのかも・・・・実はそうなった原因は別のところにあるのかもしれません。 (同じイメージを共有しているのかどうかということも実に難しい問題ですが・・・)

時代はますます「〜ねばならない」「〜すべきだ」というある特定のイメージ(理想)にこだわりそれを相手に無理やり押し付けることをやめ、「まず相手の個性・人格を受け入れる」ところから始まる、より人格的に成熟した方向へと行くのでしょうか。社会がそのようになってほしいと願っています。


アスペルガー症候群やLD・ADHDなどの軽度発達障害などの人は、見た目があまり障害を持っているとはわからない場合が多く、「ちょっと変わった人」「あの人はどうも・・・・」と見られる事が多いようです。 そのために障害自体がその人の生活に影響を及ぼすよりは、二次的な人間関係による影響の方が大きいようです。


これも専門家などによって意見が分かれるようですが、LDはアスペルガーが人とのコミュニケーションでの問題があるのに対し、読んだり、書いたり、話したり、聞いたりなどの基本的な学習する行為に劣るところが見られるという障害です。

しかし、日常生活で一緒にいると人と同じ事が出来ないということがしょっちゅう起こります。そして他の人から「なぜあなたはこんな簡単なこともできないの?」といわれることもしばしばです。しかし、本人はどうがんばっても出来ないものは出来ないものです。

これが小学校でだんだん学年が上がっていくにつれてその違いが顕著になり、団体行動からはみだしたりすることが多くなってきます。昔、小学生のころに団体行動についていけない子供がいなかったでしょうか。そしてその子供はいじめられてませんでしたか? 「だらしない」「ダメな子」「親の顔が見たい」「あの子とは関わらない方が良い」などと回りの子供達や先生はそのようなレッテルをその子供達に貼り始めます。

実際のところこの手の軽度の発達障害についての先生方の理解度は少なく、これが中学校に入るとほとんど理解されないという状態が現状です。

またこのような子供達がいると言うことを同じクラスの子供達や親達は理解していません。一般にだらしない行動については親達は「なにあなた、みっともない。もっとしっかりしなさい」という教育をしてたりしますので、それと同じ事をその子は障害を持つ子に対して学校で行うようになります。これが高学年に入ってくるといじめの対象になったりすることも考えられるでしょう。 私の知っている所で給食を残してしまう子に対し、「給食をなぜ食べないの?」ということで精神的な圧力を子供たちが加える事があります。それは先生が「全部残さず食べるように」という指導をしているからです。ところがそれは単に好き嫌いの問題ではなく、その子の持っている感性が違うためにほかの事味覚が触覚がやや異なるので食べれないということも起こり得るのではないでしょうか?先生がそのような子がいるということをどれだけ認識して「全部残さず食べなさい」と言っているのでしょうか?

学校ではどうしても団体行動が優先になります。そのために傷つかないようにまず先生の理解とそして団体行動を優先しない教育の環境の場を作る必要があります。ところがその点において現実は全く遅れたところにあります。

これらは一般の訓練をすることによって直ると言うものではなく、どんなに叱っても変わるものではありません。ところが、回りの理解があり、その子の長所を伸ばして受け止めてあげながら出来ないところを別のやり方で工夫していくことによって生活に支障がないようにする事ができるようです。一番問題なのは回りの人々が理解していないということです。

これは子供のケースに限ったことですが、成人のケースは全く手付かずの状態です。もしかしたら障害として認定されたかも知れない人たちが成人となり、回りから受け入れられずに傷ついているのかも知れません。

ですから、ただ単純に「常識」を振りかざす前に一度こういうこともあるということを頭に入れておいた方が良いのではないかと思います。 またそのように一度考えることによって自分が一時的な怒りに駆られて人間関係を壊してしまうということを防ぐ事ができ、より落ち着いた見方で人を見る事ができるのではないでしょうか。
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書いてる人

現代人の恋愛事情に根ざしているものは、国と時代を超えて語り継がれてきた古典的な恋愛論だと思います。
学生時代は心理学を含めて学術的に恋愛を分析する機会が多かったと思います。こんな私も結婚して既婚者となりました。結婚する前にすべき思考が暗礁に乗り上げるように恋愛論、結婚論について書き進めています。純でガチガチの恋愛ブログです。

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